F1観戦記:2009年シーズン


時代の波。

R1オーストラリア

ホンダの遺産を受け継いだとは云え、初参戦初優勝はすばらしい。もっともシャシーはホンダの遺産だがエンジンはメルセデス。スタッフもホンダが抜けてこの有様ってことは、ホンダ第3期はエンジニアリングはともかく、マネジメントが最悪だったってことなんだろうな。所詮技術屋上がりの視野狭窄集団だった訳だ。ほぼノーミスでポールトゥウィンのジェンスは漸く春が巡って来たか。ハンガリーと違って今度はフロックじゃない予感。開幕戦勝者の王者確率73%(94年以降)。トヨタもまあ上出来かな。ルイスは意地を見せたが、いかんせんくるまが最低。跳ね馬はぜんぶサイテー。ベッテルとクビサは若さが出たねえ。台なしだよ。

R2マレーシア

マレーシアなんだからさ、スコールは織り込み済みなんだろう? ひどいオーガナイズだ。F1妖怪に押し付けられたとは云えね。ハーフポイントなんて何年ぶりなんだろ。これが84年のような終劇を見せるのか。

R3中国

雨のベッテルなのか。ドライで見てみたかった。雨のバリチェロはどこ行っちゃったんかな。あ、でもファステスト出してるな。アロンソがミスとは珍しい。くるまができてないのかね。マクは復調。フェラーリは、カリスマ3人衆がいなくなってボロボロ。まだバーンはいるのかな。

R4バーレーン

くるまは多分、速いんだと思う。戦略がね、トヨタ。それにしてもバトン@ブラウンは安定してるな。こんなにいいくるまが作れたのに、撤退を決めたホンダ首脳の低能さが際立って泣けて来る。不況なんてタダの言い訳、目先のチャンスに飛びつく戦略眼のなさはビッグ3とどっこいだ。ルイスはくるまの割に頑張ってると思うが、トラック外での言動がいろいろ足引っ張ってるよね。こいつがしっかりしてれば、下劣なマクラーレンの救世主足りうるのに、勿体ない。あ、コバはいてもいなくても一緒。

R5スペイン

ここがシーズンの卜盤。だからたぶん、バトン@ブラウンの独走。2002年のミハエルとなるか。そういやあん時も僚友はルーベンスだったか。バリチェロってホント、チームメイトに幸運齎すよね。スチュワート時代も唯一の勝利をハーバートに持ってかれたしさ。フェリペ、ベッテルを抑えて頑張ったんだけど、保たなかった。マシンが悪いのか、戦略がダメなのか、恐らく両方。キミはホントやる気あんのか。疫病神ミハエルがいたからダメなのか。かつての両雄、マクの2人も精彩を欠く。つか欠き過ぎ。タイトルホルダーで唯一気を吐いたのは母国のアロンソ。今年もシーズン後半やってくれそうな感じ。

R6モナコ

モナコは毎年下位チームのベテランが頑張ってくれるのだが、今年はその気配もなく、ブラウンGP圧勝。ほかに云うこたねえよ。

R7トルコ

今年のくるまでマッサが勝つなんて奇蹟でしかなく、その奇蹟も起こることもなく、バトン圧勝。速いくるまに乗せれば速い、当たり前だが、イギリス人はみんなそうなのかもな、ここ20年を見てもマンセル、D.ヒル、ハミルトン・・・みんなその年最高のマシンで戴冠した。一番危なかったのはハミルトンだけどね。ところでイスタンブールは過去4戦しかないからジンクスと云うにはほど遠いが、いずれも勝者は戴冠できず、しかし今年はひっくり返るか。

R8イギリス

ついにベッテルがドライで魅せた。レッドブルはフロックじゃないのか。バトンの全戦表彰台も潰え、02年の再現はならず。しかし残り全て2位でもチャンプと云う訳で、

R9ドイツ

食らいつくレッドブル。つかブラウン失速。夏場に勢い衰えるのはロスの宿命なのか。ウェバーの幅寄せはまあこんなもんでしょ。いつからGPは紳士の狎れ合いになったんだ? 危険スレスレもしくは一線超えちゃったところで殴り合うのがスポーツだよ。そしてペナルティにもめげず初優勝を遂げたマークこそ勝者に相応しい。負け犬は遠吠えでもしてろって感じ。バリチェロはすっかり腐った犬に成り下がっちまったなあ。しかしロスもコメントしてただろ、あの遅さじゃ戦略以前の問題だって。彼の戦略が生きるのはミハエルのような執念とタフネスとに噛み合ったときなんだよ。

R10ハンガリー

ブルデー解雇の噂が専ら。F1に3人もセバスチャンは要らねえってか。あ、でもローブが来たら変わんねえぞ。なんて思ってたらホントに解雇されちゃった。そしてフェリペが大変なコトになってしまった。今季絶望だろうか。漸くフェラーリもマクラーレンも上向いて来たってえのに。ブラウンの失速ぶりは目も当てられないが、ベッテル自滅で息付く。

R11ヨーロッパ

皇帝は意外と重傷でこれも復活ならず、バドエル君が10年ぶりにサーキットに戻ってきたが、ミハエル以上に過去の人だった。マクラーレン復活の狼煙。でもポディウムの頂点にはこれまた5年ぶりのルーベンス。チームメイトがばかすか勝ってるシーズン中盤に漸く勝利を挙げるとこなんかは、昔と変わらん。レッドブル勢が失速してる中、ブラウンGPが着実にポイントを稼ぐ。あ、ブルデーは解雇されました。ピケも消えました。バドエル入れて新人3人とも最下位に並んだのはなんとも。それより下の中島君はトラブルだけどさ。

R12ベルギー

今年2度目のサプライズ、フォースインディアがPP。一気に男を上げたジャンカルロ。前戦のバリチェロともども過去の人かと思われていたのに、大浮上。しかも決勝で2位なら文句なし。そしてこのテクニカルサーキットで冴えるのはやはりキミ。これでムラっけさえなけりゃ安定したシーズン送れるんだけどね、もうキャラか。ある意味フェラーリにお似合いかも。バトンは依然として足踏み。往年のミハエルみたいだ。

R13イタリア

バドエル君は降格、フィジケラがフェラーリのシートに収まって、これが花道。でもレースではいいとこなし。つかインディアの方が上って、戦闘力だけ見れば残留すべきだったのだろうが、そこはイタリアンの夢。でもティフォジは厳しいからなあ。最終ラップのルイスの失態は、大勢に影響しないのがなんとも物悲しい。で、ブラウン復活のワンツー。ここモンツァの勝者はセナプロ以降たった1人2回を除いて王者になっていない。バリチェロはミハエルの後を襲えるか。

R14シンガポール

いまさらクラッシュゲートで引っ掻き回すピケ親子の性根が判らん。皮肉にも1年前と同じ場所でルノーのグロージャンが大破。そして防衛ならなかった元王者が勝利する。

R15日本

ベッテル圧巻。バトンの背中が見えた。そのベッテルを除いたトップテンがベテランばっかてえのが、このサーキットの難しさを表している。トヨタは結局この辺がせいいっぱいてとこなんだろうな。

R16ブラジル

序盤のクラッシュで興醒めとなった筈のGPも、カムイが盛り上げてくれた、と云ってもいい。カズキ形無し。後半不甲斐ないバトンは前半の貯金を活かしてついに戴冠。経緯はどうあれ、王者は王者だ。勝てる時に勝つ。ライバル不在だった訳じゃない。他に5人も勝者が出てるのだから。あえて云えば、肝心のバリチェロが前半バトンをほとんど食えなかった。所詮ルーベンスはそこまでの器でしかなかったということだ。あるいはそれが、フェラーリではなくロス・ブラウンのやり方なのかもね。

R17アブダビ

なんだかんだでルイスはそれなりに気を吐いた1年だったと思う。最後まで不運は拭いきれなかったけれども。コバはいたのかどうか判らんくらい。マクラーレンも、ルノーも、王者のチームメイトがヘタレ過ぎる。ドライバーのバランスで云えばフェラーリが一番だったが、こっちはくるまがダメ過ぎた。そうして今シーズン、レッドブルが一番飛躍しただろうことは確かだ。加えてウェバーにはチャンピオンになれる素質が同僚より少ないこともはっきりした。さて最終戦で大活躍だったのはベッテルだが、カムイも存在感を示したと云える。残念乍らシーズン終了後、トヨタが遅まき乍ら撤退を表明したことで、彼の行き場はなくなってしまった。どこか拾ってやってください。カズキはもういいや。

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